金属切削加工を賢く依頼する方法とは?依頼のコツから基本知識まで徹底解説

2022年02月14日(月)
2022年03月10日(木)

金属切削加工を外注に依頼したい場合はどうすればいいのでしょうか?どのように業者を選べばいいのでしょうか?

今回ははじめて金属切削加工を外注される方のために、依頼する際の注意点や意識すべきポイントを、金属加工のプロが解説します。コスト面でも、品質面でも、納期面でも、失敗しないようにしっかりと押さえておいていただければ幸いです。

金属切削加工はどのくらいコストがかかる?

結論から言うと「金属切削加工はいくらかかります」というような明言はできません。金属加工のコストには「材料費」と「加工費」が含まれています。

材料費とはその名の通り材料にかかるコストのことです。どのような材料をどれくらいの量使うかによって変わってきます。また特定の材料を同じ個数分という条件でも、どこでも一律という訳ではなく、SUSなど材料の種類によっては地域により金額が異なるケースがあります。その他にも特殊材だと小ロットの入手が困難なため材料費がかかる場合があります。

加工費とは製造原価から前述の材料費を差し引いたもの。つまり材料費以外に加工に必要なすべての費用のことを指します。具体的には人件費や設備費などが挙げられます。どのような方法で加工するか?加工の難易度はどれくらいか?熱処理や表面処理は必要か?など、さまざまな要素によって決まり、コストの算出方法は加工業者によって異なります。

そのため、一概に「金属切削加工の相場はこれくらい」とは言えないのです。複数の業者と打ち合わせをして見積もりを取ることで、おおよその費用感がわかってきます。

金属切削加工を依頼する3つの注意点

金属切削加工を依頼する3つの注意点金属切削加工を外注する際に大切なのは業者選びです。良い業者を選ぶことができれば、納期通りに求めている性能のものが納品され、コストダウンもできるかもしれません。業者選びを間違えると要求したものが納品されない、納期が遅れる、コストが高くなってしまうなど、さまざまな問題が発生します。

ここからは、金属切削加工を依頼する際の注意点、特に業者選びの際に気をつけておきたいポイントを3つ解説します。

金属切削加工を得意とする業者か?

まずはその業者が金属切削加工を得意としているか?を確認しておきましょう。

依頼したい形状の金属切削加工を得意としている業者なら、加工ノウハウが蓄積されているため、質が高い製品を短納期・低コストで納品してくれる可能性が高いです。逆に得意としていないのであれば、不良品や納期遅れなどの問題が発生するリスクが高いです。

ホームページの事業案内や加工設備、製作実績などを見ることで確認できますが、わからない場合は電話やメール等で問い合わせてみましょう。

切削だけでなくトータルを見て問題ないか?

金属を加工する場合、熱処理表面処理などが必要になることがあります。また、製作品によっては、切削加工だけでなく二次加工や追加工が必要になるかもしれません。加工業者がそれらの処理や加工にも対応してくれるかどうか?も重要です。

金属切削加工をA社、熱処理をB社というように、工程ごとに別の業者に依頼することもありえますが、手間や費用が掛かってしまいます。一社で完結できれば、時間やコストを抑えることが可能です。

打ち合わせの際には部品やパーツ・製品に必要な加工や処理を洗い出し、それらが対応できるかどうかも確認しましょう。

依頼は様々な観点で検討が必要

加工業者に依頼をする際には他にもさまざまな事柄を検討する必要があります。たとえば、定期的に外注することを前提にしているのであれば、業者の将来性を考える必要があります。仮に加工業者が倒産してしまった場合、また新たな業者を選定しなければいけません。

提案力も重要です。ただ図面通りに物を造って納品するのではなく、「この材料を使えば製品の性能をもっと向上させることができます」「この方法で加工をすればコストダウンできます」というように、要望に対して提案してくれる業者を選べば、製品の高品質化や生産性の向上、コスト削減につながります。

これらはホームページや会社案内などではなかなか見極めることができず、問い合わせに対する対応や打ち合わせの提案内容などで判断していくしかありません。

依頼する業者を見極めるポイントについては、「【部品の金属加工】間違えない依頼の仕方を徹底解説」で詳しくご説明していますので、ぜひご覧ください。

【豆知識】金属切削加工の基本知識を知ろう

金属切削加工を依頼する際には、加工業者側はもちろん、依頼者側もある程度知識があることが望ましいです。金属の素材や特性、切削加工について知っておかないと、その業者の良し悪しが判断できません。

ここからは金属切削加工を依頼するにあたって身につけておきたい前提知識について解説します。

金属に対応する切削加工の種類とは?

金属に対応する切削加工の種類とは?そもそも金属切削とは旋盤やフライス盤、マシニングセンタといった工作機械を用いて、金属を削る、穴を空ける、溝を掘るといった加工のことを指します。その中でも、回転させたワーク(加工物)を固定された工具や刃物に当てることで削る「旋削加工」、刃物や工具が動いて金属を加工する「転削加工」など、さまざまな種類があります。

旋削加工を行うためには「旋盤」という工作機械を用います。X軸とY軸という2つの加工軸をもつ「汎用旋盤」、小型の部品を加工できる「卓上旋盤」、コンピュータで刃物を制御する「NC旋盤」などがあります。

転削加工では、工作物の位置や工具の速度、切り込み量などを手動で操作する「汎用フライス」、工具が地面に対して垂直に取り付けられていて、コンピュータで自動制御する「縦型マシニングセンタ」、地面に対して並行方向に工具が取り付けられていて、同じく自動制御で加工を行う「横型マシニングセンタ」といった工作機械を用います。

切削加工の種類や工作機械の基礎知識については「切削加工」でさらに詳しく解説しています。

どんな金属でも切削加工できるの?

どんな金属でも切削加工できるの?金属なら何でも切削加工ができるというわけではありません。硫黄や鉛、ビスマス、セレンなどの素材であれば比較的柔らかいので切削加工は容易です。これらの金属素材は「快削材」と呼ばれます。鉄やアルミ、銅に関しても切削加工が普通に可能です。

一方でインコネルやチタン、ニッケルなどは非常に硬く、切削加工が困難となります。こうした素材のことを「難削材」と言います。一般的な加工方法で加工した場合、工具がすぐに消耗してしまう、高熱が発生する、精度が出ないなどのトラブルが発生することがあります。

このように、素材によって切削加工に向いている・向いていないがあります。場合によっては素材や加工方法の変更を検討しなければなりません。

金属の難削材は切削加工できるの?

金属の難削材は切削加工できるの?切削加工が難しいとされている難削材であっても、加工ができないわけではありません。特殊な工具や加工技術を用いることで切削は可能です。しかし、設備や技術者のノウハウ・スキルによるところが大きく、対応できる業者はそれほど多くありません。特に難削材の切削加工は得手不得手が現れやすい分野です。対応しているとしても、品質があまりよくない、あるいはばらつきがある可能性があります。

また、難削材の切削加工には前述のとおり特殊な工具や設備が必要となるので、コストが高くなってしまう傾向があります。

その業者が対応できるかどうか?どのような設備を有しているか?どれくらいの技術力があるのか?コストはどれくらいかかるのか?を見極めることが大切です。

金属切削加工でないと本当にダメ?

金属切削加工でないと本当にダメ?部品やパーツ、製品を造るにあたっては、金属切削加工に固執しすぎないことも重要です。他の加工方法でも十分対応できる可能性はあります。そもそも、素材が必ずしも金属である必要はなく、樹脂などに置き換えができるかもしれません。むしろ、他の手段や素材を採用することで、スペックが高くなる、コストが抑えられるなどのメリットが得られる場合もあります。

素材の性能が金属でなくても良い場合

たとえば金属である必要がない箇所に使う部品・パーツで、かつ切削加工が困難なケースであれば、樹脂への置き換えも可能です。樹脂であれば熱処理も不要なので、その分だけコストや納期を短縮することができます。

一般的に素材を選ぶ際には機械的性質(外からの物理的な力にどれくらい耐えられるか?)、熱的性質、化学的性質(耐化学薬品性など)、電磁気学的性質、光学的性質、物理的性質などを鑑みて金属にするか、樹脂にするかを判断します。

たとえば衝撃があまり加わらない部分、高温下での使用を想定していないといったケースでは樹脂を使用しても問題ない可能性があります。

軽量化したい場合

前述のとおり、対象部品に金属の機械的性質が不要である、もしくは図面上別の部品で性能を置き換えられる場合で、かつ軽量化が課題になっているケースでは、樹脂に置き換えることで製品の軽量化が図れる、性能がアップするなど、むしろ大きなメリットを得られる可能性があります。

もう一度図面を見て、「そもそも金属である必要はあるのか?」「樹脂に部品を置き換えられる部分はあるのか?」を検討してみることもおすすめします。

金属と樹脂の性能の違いを詳しく知りたい

重量のほかにも、非熱伝導性(熱を伝えにくい性質)や非電気伝導性(電気を伝えにくい性質)に関しても樹脂のほうに軍配が上がります。こうした性能が求められている製品・部品であれば、金属よりも樹脂を採用したほうがよいかもしれません。また、成形のしやすさや着色のしやすさも樹脂の利点です。無理に金属で形作るよりも、樹脂で成形したほうが品質は高くなり、コストや納期も削減できる可能性があります。

金属と樹脂の違いについては「樹脂(プラスチック)材料の特性~金属との使い分けを知ろう!」に記載しておりますので、ぜひお読みください。

金属切削加工で絶対に抑えておくこと

金属切削加工で絶対に抑えておくこと金属切削加工を外注する際には納期や製作物の精度(不良品がないか?品質に問題がないか?ばらつきがないか?)、コストなど、さまざま要素を検討しなければなりません。失敗を避けるためには加工業者の選び方が肝です。その業者の技術、見積り金額、得手不得手、提案力、対応など、さまざまな角度から見極めましょう。そのためにも、実際に複数の業者に相談してみることが大切です。

そもそも、切削した金属が適しているかどうかといったことも検討の余地があります。金属切削加工に固執しすぎるのも考えものです。樹脂に置き換えたほうが製品の高品質化やコスト削減につながる場合もあります。コストや加工方法、素材などにとらわれず、柔軟に検討していきましょう。

とはいえ、プロの提案がほしい!という方

今回の記事、あるいは過去記事を参照いただくことで、金属切削加工業者を選ぶポイントや注意点を把握していただけます。とはいえ、部品加工に会社の命運がかかっている場合もあり、特にはじめて外部の業者に依頼される方にとっては不安な点や疑問点もあるかもしれません。

「プロの提案が欲しい!」という方は、株式会社フカサワにご相談ください。弊社は80年以上前に創業して以来、部品・パーツ、ねじの総合商社として、お客さまに貢献してまいりました。金属切削加工のプロフェッショナルでもあり、ご要望に対して素材選定から加工方法の検討、品質・コストにいたるまで、あらゆる角度でご提案が可能です。もちろん、高品質な製品を適正価格で納期通りに供給いたします。

全国対応可能です。本社もしくは最寄りの拠点まで、お気軽にお問い合わせください。

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