樹脂の種類と成形方法!~適した方法で樹脂成形するために~

2022年06月24日(金)

樹脂成形とは?

樹脂(プラスチック)とは人為的に製造された高分子化合物のことを指します。ナフサという石油からポリマーを精製し、さらに配合剤などを加えて練り込んで固めることでペレットという材料ができあがります。このペレットから樹脂製品や部品を形づくる工程が、今回のテーマとなっている「樹脂成形」です。

樹脂はさまざまな形にすることができる非常に汎用性が高い素材で、私たちの身の回りは樹脂であふれています。

今回は樹脂成形の方法や成形不良への対策法、製品や部品の素材として樹脂を使うメリットについて見ていきましょう。

樹脂の種類に適した成形方法

樹脂は大きく「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」という2種類に分けられ、それぞれに適した成形方法を選択しなければなりません。

熱可塑性樹脂には加熱すると柔らかくなり、冷やすと硬くなるという性質があります。熱くなると溶けて液体状になってしまうチョコレートのようなイメージです。再成形が可能なのでリサイクルがしやすい、加工性が高い、安価で量産できるというのがメリットですが、熱が加わると変形しやすいというデメリットもあります

熱硬化性樹脂には加熱すると柔らかくなり、さらに熱を加えると固くなるという性質があります。焼いて固めるクッキーをイメージするとわかりやすいかもしれません。一度硬くなると再度柔らかくなることはないので、高温の場所でも変形しない、曲げや歪みなどが生じにくいといったメリットがありますが、成形のやりなおしができないというのがデメリットです

種類 素材 主な加工法
樹脂(プラスチック) 熱可塑性樹脂 ポリエチレン、ポリプロピレンなど 射出成形
熱硬化性樹脂 フェノール樹脂、エポキシ樹脂など 圧縮成形

熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂を成形する際には「射出成形」という技術を用いるのが一般的です。前述のとおり、熱硬化性樹脂は加熱することで軟化するという性質をもっています。ある程度熱して柔らかくなったペレットを金型の中に射出し、圧力をかけながら熱を加えることで、製品や部品に形づくることができます。この射出成形は量産性や加工の自由度が高く、樹脂の成形方法の中でももっとも一般的なものです。

代表的な熱可塑性樹脂として以下のようなものが挙げられます。

ポリエチレン

ポリエチレンはその名の通りエチレンを重合した樹脂です。もっとも普及している樹脂素材の一つで、スーパーのレジ袋やフィルム、包装、おもちゃ、家電製品、車の部品など、幅広く使われています。非常に安価で数ある樹脂の中でも比較的柔らかいので、射出成形を含め加工がしやすいというのがメリットです

ポリプロピレン

ポリプロピレンとはプロピレンを重合させた樹脂です。見た目はポリエチレンと似ていますが、耐熱性や強度はポリエチレンよりも高いというメリットがあります。また、こちらも射出成形や切削、曲げなどの加工がしやすく、一般的に普及している樹脂素材です。容器やおもちゃ、家電製品、建築資材、自動車部品など、さまざまな用途で使われています。

熱硬化性樹脂

加熱することで硬くなる性質がある熱硬化性樹脂の場合は射出成形のほかに「圧縮成形」という方法がとられることもあります。柔らかくなったペレットを金型の中に流し込んで、圧力をかけます。その状態で加熱することで樹脂が固まり、製品や部品の形となります

圧縮成形はコストを抑えられる、圧力をかけることで密度が高い樹脂製品を成形できるというメリットがあります。射出成形とならんで一般的な成形方法であり、かつ最も歴史がある技術です。

以下が代表的な熱硬化性樹脂です。

フェノール樹脂

フェノール樹脂とはフェノールホルムアルデヒドを混合した樹脂素材です。もともと樹脂は樹液や昆虫の分泌物などを固めたものを指しますが、このフェノール樹脂がはじめて人工的に作られた樹脂と言われています。耐熱性が高く、調理器具の取手やキッチン用品、合板接着剤、自動車部品などで使われます。電気絶縁性が高く、プリント配線基板、電子部品にもよく使われる素材です。

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は分子内にエポキシ基が含まれている化合物から作られる樹脂です。耐腐食性、耐薬品性、耐水性、電気絶縁性が非常に高く、塗料や建築材、接着剤、プリント配線基板、電子部品などの材料として使われます。また、近年では3Dプリンターの材料としても用いられ、注目を集めています。

【豆知識】成形不良はどうしたらいい?

樹脂は成形・加工がしやすく、非常に使い勝手がいい素材ではありますが、どうしても不良が発生することがあります。特に多いのが余分な樹脂がはみ出ている「バリ」です。圧力をかけすぎる、射出する樹脂の量が多いといった要因でバリが発生することがあります

歪みや曲がりが生じている「そり」も多いです。これは金型の温度にバラツキが生じていたり、成形品を無理に取り外したりといった原因で起こることがあります

他にも表面にくぼみや凹みができる「ヒケ」、内部に空孔ができてしまう「気泡」、筋のような模様が入ってしまう「シルバーストリーク」など、成形の過程でさまざまな不良が発生します。やはり、これらの不良においても原因が必ずあるものです。

樹脂成形の現場においては不良の種類と原因をしっかりと把握しておき、万が一発生した場合は原因を突き止めて改善を積み重ねることで、不良率を抑えています。

樹脂への素材転換はいいことづくし!?

今、部品や製品の素材を金属から樹脂に置き換える動きがあります。金属は強度や耐久性が高いというメリットがある一方で重いというデメリットがあります。樹脂への素材転換を行うことで、軽量化や性能アップを図ることも可能です。金属よりも材料費が安い場合もあり、加工もしやすいことから、コストダウンや生産性アップといった効果も期待できます。

さらに、塗装やコーティングをすることで意匠性を向上させる、添加物を加えて強度アップや抗菌などの機能性を付与することもできます。弊社から素材転換をご提案させていただいたことで、製造現場や経営上の課題を解決できたという事例も少なくありません。

一方で、やはり力や熱などが加わる箇所の部品や過酷な環境下で使用する製品の場合は樹脂よりも金属のほうが適しています。適材適所を意識し、樹脂に置き換えられる部分、金属である必要がないケースでは素材転換を検討してみることをおすすめします

素材転換時の樹脂選びは?

樹脂は加工が容易でコストも安い素材です。積極的に活用することで、生産性の向上やコストダウン、製品の性能アップが実現できる可能性があります

部品やパーツの素材選びや素材転換でお悩みの方は、部品・パーツ、ねじの総合商社である株式会社フカサワにご相談ください。「こんな物作れる?」「こんなことをしたい」といった漠然としたご相談も大歓迎です。お客さまが抱えられている課題や用途、求められる性能に応じて最適な素材をご提案設計・製造・検査・納品まで一貫して対応し、納期通りに求められている部品・パーツを安定的に供給いたします。

弊社ではさまざまな樹脂を取り扱っており、成形・加工についても幅広く対応しております。詳しくは「樹脂・プラスチック材料一覧」をご覧ください。

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