シリコン樹脂加工の基礎知識|製品の種類やシリコン素材の特徴を解説

2024年02月16日(金)

シリコン樹脂は私たちの身のまわりのものから産業分野まで、さまざまな場所で使われている樹脂です。金属やプラスチック、紙や布などにシリコン樹脂加工を施すことで、さまざまな効果を得ることができます。

この記事ではシリコン樹脂を含むさまざまな樹脂の加工・後加工・表面処理の実績がある株式会社フカサワが、シリコン樹脂の特徴についてわかりやすくご説明します

シリコン&シリコン樹脂とは?成分の基本構造やシリコンとシリコーンの違いなどを解説

シリコンとはケイ素(Si)のことを指す言葉です。ケイ素とは元素の一種で、地球上では酸素に次いで多く、石や土、水道水、根菜や穀物、さらには骨や関節、血管、髪の毛など人の体内にも存在します。ケイ素は私たちにとって非常に身近な元素ですが、自然界ではそれ単体で存在することはありません。結晶化したケイ素はダイヤモンド形状で光沢がある暗灰色をしています。

シリコン樹脂とはこのケイ素を原料とした樹脂化合物のことを指します。なお、シリコン樹脂は「シリコーン」と呼ばれることもありますが、シリコーンはシリコン樹脂と同義です。シリコンはケイ素のこと、シリコーン・シリコン樹脂はシリコンを原料とした化合物ことであるというように覚えておきましょう。

【豆知識】シリコン樹脂加工とフッ素加工(テフロン加工)の違い&比較

共通した特徴 耐熱性・撥水性・非粘着性・耐薬品性に優れる
耐熱性の比較 シリコーン加工:常温~280℃程度
フッ素加工:常温~380℃程度

冒頭でも少し触れましたが、シリコン樹脂を金属やプラスチックの表面にコーティングすることで、その性能をアップさせることができます。これをシリコン樹脂加工といいます。シリコン加工に似たようなものとしてフッ素加工(テフロン加工)というものがあります。

シリコン樹脂加工もフッ素加工も素材の耐熱性や撥水性、非粘着性、耐薬品性を高めるという効果が得られるという点が共通です。大きな違いは耐熱温度にあります。シリコン樹脂加工は280℃まで、フッ素加工はさらにその上の380℃まで耐えることが可能です。

シリコン樹脂の7つの特徴|メリット・デメリットも交えて解説

以上でシリコン、シリコン樹脂の概要や特徴をご説明しました。ここからはシリコン樹脂の特性やシリコン樹脂加工を行うメリット・デメリットをもう少し深堀りして見ていきましょう。

【特性1】安全性が高い|人体に無害なので用途の幅が広いのがメリット

シリコンは人体にも存在する物質であり、シリコン樹脂に関しても有害物質は含まれていません。タンパク質も含まないため、アレルギー反応も皆無です。また、仮に燃焼してもダイオキシンなどの有害物質が発生しません。そのため、非常に安全性が高く、食品衛生法による適合品(厚生省告示第 20 号)としても認められています。

キッチン用品や化粧品、医療器具・用品など、安全性が厳しく求められる製品でシリコン樹脂加工が活用されています。

【特性2】耐熱性と耐寒性が高い|200℃以上の高温や-60℃の低温にも耐える

一般的な樹脂は100℃以上の高温になると溶けてしまったり変形してしまったりします。前述のとおりシリコン樹脂は非常に耐熱性が高く、280℃まで耐えることが可能です。一方で耐寒性にも優れており、-60℃の低温下でも使用することができます。熱にも冷気にも、両方強い樹脂素材なのです

そのため、調理器具や冷凍食品の保存に使う器具、あるいは過酷な環境下で使われる機械設備の部品などにもシリコン樹脂加工が施されます。

【特性3】電気絶縁性が高い(電気を通さない)|電子部品などで多用される

樹脂は電気絶縁性、つまり電気を通しにくい性質がありますが、とりわけシリコン樹脂は非常に優れた絶縁性を持ち合わせており、広い温度範囲や周波数範囲において、さらには水中や高電圧化においても高い絶縁性能を発揮します。通電させたくない部品をシリコン樹脂で覆えば、その部品を電気から保護することが可能です。また、逆に通電部をシリコン樹脂で覆うことで電流が外に伝わらないようになります。

シリコン樹脂を原料とするシリコンゴムは電子機器や機械設備の絶縁部品、電線やケーブルの被覆材にもよく用いられています。

【特性4】表面張力が高い|撥水性・消泡性・離型性(非粘着性)に優れる

シリコン樹脂は非常に表面張力が高い素材です。撥水性(水を弾く性質)、消泡性(不必要な泡を消す、泡を整える性質)、離型性(表面に物質が粘着しにくい性質。非粘着性とも呼ばれる)に非常に優れています

照明器具の部品や繊維などを水分から保護するためにシリコン樹脂加工が施されることがあります。また、オイルにシリコンを配合することで、そのオイルの撥水性を高めることが可能です。他にも離型性が高いため印刷のロールやシート、金型のロストワックスにもシリコン樹脂が使われることがあります。

【特性5】耐候性が高い|屋外でも利用できるメリットあり

樹脂は屋外で断続的に使用していると紫外線や風雨の影響で劣化してしまいます。シリコン樹脂は非常に耐候性が高く、長期間屋外使用をしても劣化はほとんどありません。前述のとおり撥水性や耐熱性・耐寒性にも優れているため、雨に濡れる場所、気温変化が激しい場所での使用にも適しています。

外壁や看板に使われている塗料、外壁材の隙間やひび割れを埋めるコーキング剤にもシリコン樹脂が使われています。

【特性6】耐薬品性・耐溶剤性に優れる|劇薬や有毒物質にも強い

金属や樹脂は薬品がかかると腐食してしまったり変形してしまったりすることがあります。耐薬品性・耐溶剤性が高いのもシリコン樹脂の大きな強みです。酸、弱アルカリ、塩基、塩、油、アルコール、アセトンなど幅広い物質に対して優れた耐性を持ち合わせています

そのため、容器、医療器具、手袋など液体や薬剤を扱う場所で使われる製品にもシリコン樹脂が使われています。ただし、強酸や強アルカリにはアルカリ樹脂といえども耐性が十分ではないので注意しましょう。

【特性7】耐油性は100℃以上の環境のみ高い|メリット・デメリット両方あり

耐薬品性、耐溶剤性だけでなく耐油性が高いのもシリコン樹脂の特徴です。モーターオイルやディーゼルオイル、ガソリンなどの油に対しては膨潤こそ見られるものの、溶けたり分解されてしまったりということはありません。ただし、100℃以下の温度ではニトリルゴムやクロロプレンゴムのほうが耐油性に優れます。

容器や手袋の素材としてシリコン樹脂が使われるのは耐油性が高いという理由もあります。

シリコン樹脂の加工方法|シリコンゴムを例に4つの例を解説

圧縮成形 シリコンゴムに熱と圧力を加えて金型に圧縮して成形します。その後冷却固化させることで、シリコンゴムが金型どおりの形になります。圧縮成形は樹脂の成形技術の中でももっとも歴史が長いですが、現在でも広く採用されています。
トランスファー成形 予熱室で加熱して柔らかくなったシリコンゴムを金型へ圧入し、その後冷却固化させるという成形方法です。圧縮成形を改良した技術で、短時間で成形できることと寸法精度が安定しやすいといった特徴があります。
押出成形 加熱して柔らかくなったシリコンゴムを口金からところてんのように押し出す成形技術です。押し出されたシリコンゴムは口金の形状となり、その後冷却槽を通過し固化します。同じ形状の部品や製品を大量生産するのに向いている成形方法です。
射出成形 加熱して柔らかくなったシリコンゴムを金型に流し込んで固化させて成形します。一度金型を製作すれば同じ樹脂製品を造ることができるため、コストがかからず大量生産に向いています。

シリコン樹脂の部品及びパーツの加工・特注品製作は創業80年以上の「フカサワ」にお任せください

フカサワの対応力が高い分野

対応可能な加工例

接合
  • 超音波溶接
  • 外部加熱溶接
  • 高周波溶接
  • 摩擦溶接
  • 誘導加熱溶接
  • 接着接合
  • レーザー溶接
  • 機械的接合
加飾
  • 塗装
  • 各物理蒸着(PVD)
  • メッキ
  • ホットスタンピング
  • 印刷
機械加工
  • 切削
  • スライス
  • 切断
  • 曲げ
  • 穴あけ

株式会社フカサワは創業80年以上の歴史があるねじ・部品の総合商社です。ただ既製品を販売するだけでなく、樹脂・金属の特殊品や加工のご依頼も承っております。

シリコン樹脂を含めありとあらゆる樹脂の加工に対応可能です。幅広い協力工場と提携しているため、成形加工や切削加工をはじめ、さまざまな加工に対応しており、後加工や表面処理、さらには接合などの二次加工、アッセンブリなど、お客様のご要望に合わせて納品いたします。複雑形状や大型部品の成形もお任せください。

「こんなものできる?」「この部品にシリコン樹脂加工ができる?」といったご相談も大歓迎です。製品の品質向上やコストダウン、生産性の向上など、お客様の課題を解決できるご提案を得意としておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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