金属加工の種類とは?体系的に分かりやすく解説!

2021年12月27日(月)

機械加工にはさまざまな種類があり、素材や形状、求められるスペックに応じて適切なものを選ぶ必要があります。そのためには「どんな加工方法があるか?」「その加工方法でどのようなことができるか?」を把握しておくことが大切です。

今回は金属加工の種類や特徴などを体系的にご説明します。この記事を読めば金属加工に関する基礎的な知識を習得することができますので、特に製品製造をご検討中の方、これから金属を扱う予定がある方は参考にしていただければ幸いです。

大きく2段階の加工方法

金属の加工方法金属加工は大きく分けて「形作る加工」と「材料の性質変化」という2種類に分けられます。「形作る加工」には工作機械を用いて削ったり切断したり、あるいは穴や溝を掘る、力を加えて変形させるなど金属を成形する加工のことを指します。「材料の性質変化」とは金属に熱を加えたり冷やしたり、あるいは表面をコーティングしたりして金属の性質を変化させる加工方法です。

「形作る加工」だけ、あるいは「材料の性質変化」だけというように、どちらか一方のみで製品や部品ができあがるわけではありません。「形作る加工」で材料から成形し、「材料の性質変化」で機械的性質を向上させる、あるいは逆に「材料の性質変化」で金属を加工しやすい状態にして「形作る加工」で形作っていくというように、ほとんどの場合は両方の加工を経て部品や製品が完成します。

したがって金属製品に関係する仕事に携わるのであれば、両方の加工について知っておく必要があります。

金属の加工方法

形作る加工の分類製品や部品を「形作る加工」はさらに「成形を目的とする加工」と「除去を目的とする加工」の2種類に分けられます。成形を目的とする加工とは素材の状態にある金属を製品や部品の形にすることです。除去を目的とする加工は金属を削ったり切断したりして製品や部品を形作る加工のことを指します。

たとえば水を型に入れて冷蔵庫で冷やしてしばらくすると、型の形状に合わせて氷ができあがります。大きな氷の塊を彫刻刀で削ると美しい氷像ができます。成形を目的とする加工は前者、除去を目的とする加工は後者をイメージするとわかりやすいです。

成形を目的とする加工

成形を目的とする加工には「鋳造」「塑性加工」「焼結」という加工方法があります。鋳造は加熱してドロドロに溶けた金属を鋳型の中に流し込み、凝固させることで形作る加工方法です。水を型に流し冷やして氷を作るのと同じ原理です。

塑性加工は素材に大きな力を加えて変形させる加工方法です。代表的なものにプレス加工や鍛造などが挙げられます。代表例は日本刀の鍛錬です。刀鍛冶がハンマーで鉄を叩いて伸ばすことで日本刀を形作ります。

焼結とは粉末状の素材を焼き固めることで成形する方法です。子供の頃に砂場の砂に水を少し混ぜて手で圧力をかけて団子を作った経験がある方もいらっしゃるかもしれません。焼結はそれに近いイメージです。

除去を目的とする加工

除去を目的とする加工とは金属の不要な部分を除去することで製品や部品の形を作る加工のことです。「切削」「研削」「砥粒研磨」「放電加工」「切断加工」などが挙げられます。

切削は旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどの工作機械を用いて刃物によって加工物を切ったり削ったり、穴を空けたりする加工方法で、多くの工場で取り入れられている金属加工の中でもスタンダードな加工方法です。

研削は砥石によって加工物を削ることで材料から製品・部品を形作る加工方法です。砥粒研磨は砥粒(硬度が高い粉末状の物質)によって金属の表面を磨く加工方法で、より表面をきれいに・精度高く仕上げることができます。

放電加工は電極から加工物に放電させ、電気の力で金属を切断したり削ったりする加工方法です。微細な加工や難削材の加工も可能です。切断加工はレーザーや熱によって加工物を切断します。

金属の性質を変化させる加工方法

金属の「材料の性質変化」には「熱処理」と「表面処理」があります。熱処理は金属を加熱したり冷却したりして性質を変化させる加工方法です。金属は元素が結合してできていますが、熱を加えたり冷却したりすることで、組織が変質し、機械的性質(硬さや引張強さ、耐摩耗性など)を変化させることができます。

表面処理とは金属の表面にめっきや塗装などを施す加工です。特殊なコーティングあるいは塗料の塗膜で金属の表面を覆う事で腐食などを防ぐことができます。

熱処理

熱処理とは金属を加熱するあるいは冷却することで組織を変質させる加工方法で、金属全体に効果が及ぶ「全体熱処理」と表面のみを変質させる「表面熱処理」の2種類があります。

さらに、全体熱処理には熱サイクル(加熱と冷却)によって金属を変質させる「熱処理」と、0℃以下に冷却するなどして固溶させる「特殊熱処理」があります。

熱処理には「焼入れ」「焼戻し」「焼きなまし」「焼ならし」があり、金属の機械的性質、つまり硬度や引張強さなどを強化することが可能です。特殊熱処理は熱処理済みの金属の機械的性質をさらに向上させる用途に用いられます。

表面熱処理には高温で炭素を表面に浸透させて硬化させる「表面焼入れ」と、高温の窒化雰囲気下で金属の表面を硬化させる「熱拡散処理」があります。

表面処理

表面処理は金属の表面に保護膜を形成し、防錆効果や潤滑性能を向上させる加工です。金属皮膜を被覆させる「めっき加工」、処理剤によって化学反応を起こさせて耐腐食性や表面親和性を高める「化成処理」、電解質溶液に浸して通電することでアルミニウムへの酸化皮膜を形成し錆びにくくする「アルマイト処理」があります。

また、塗装も表面処理の一種と言えます。塗料を直接塗布したりスプレーなどで吹きかけたりする「流動性塗装」と、粉末状の塗料を塗布する「粉体塗装」の2種類があります。塗装の代表例は車のボディや建物の外観、公園の遊具などです。美観を向上させるとともに、錆を防ぐことができます。

金属加工が難しい難削材

金属は素材によって切削加工の難易度が異なります。加工が容易なものを「快削材」と言い、機械的性質を劣化させない程度のごく微量の添加物(鉛・硫黄・マンガンなど)を含んでいます。しかし、食品・医療関係等では添加物が認められていないので注意が必要です。一方で加工が難しいものを「難削材」と言います。ステンレスやチタンなどが代表例です。難削材を加工する場合、快削材あるいは一般的な金属材料と同じ条件で加工すると熱が放射されず刃先の温度が上昇しやすい、刃物の寿命が短くなる、精度が悪くなる、発火・引火する危険性が高くなるなど、さまざまな問題が生じるため、特殊な加工を施す必要があります。

難削材の重要性

加工がしにくく、一般的な環境ではトラブルを引き起こすリスクがある難削材ですが、デメリットばかりではありません。加工がしにくいほど硬いということは、言い換えれば通常の金属よりも格段に強いと言えます。

たとえばチタンは熱に強く力が加わっても元に戻る性質があり、耐腐食性にも優れています。そのため、航空機や自動車、海洋施設や医療など、過酷な環境下で使われる製品のパーツや部品などに採用されています。ステンレスも優れた機械的性質をもち、耐熱性も高いため、食器や厨房器具などの私たちの身近な分野から、航空・宇宙、医療などの専門的分野まで広く使われています。

メリットとデメリットは表裏一体。加工が難しければ難しいほど優れた素材と言えるのかもしれません。

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ねじや部品・パーツの総合商社として80年。長い歴史で培われた総合力(コスト、デリバリー、人間力(対応力)、提案力)をもって、日本全国のお客様の課題を解決してまいりました。金属加工においてもご提案から設計、加工、品質管理、納品まで一貫して対応。素材選びの段階からご相談いただけます。難削材の加工や特注品・オーダーメイド品の製造もお任せください。ご要望どおりのねじ、部品・パーツを納期通りに安定的に供給いたします。

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